最近、ゴルディロックス相場ということが盛んに言われています。
ゴルディロックス相場というのは適温相場と同じ意味らしいのです。
今回はこのゴルディロックス相場というものは、基本的には投資家にとっては歓迎できない相場であるということということを解説していきたいと思います。
ゴルディロックス相場とは?
書いている本人がその意味をよく理解をしていませんので、インターネットで検索をした結果を掲載しておきます。
どういう状態のことを、ゴルディロックス相場というのが理解できればいいと思います。
去年のマーケットがゴルディロックス相場と言われています。
ただし、今年2月の株式の急落からこのゴルディロックス相場が終焉をしたと一般的には言われていますが最近の動きからは、
またゴルディロックス相場が続行するのではないか?
と、金融業界では言われています。
個人的な意見をいえば、なんでこんな小難しい言葉を使うのか意味がさっぱりわかりません。
単に安定的な相場、ないしは適温相場といえばいいものを、なんで格好つけてこんな言葉にするのかさっぱり理解ができません。
要するに金融業界というのはかんたんな言葉を難しい言葉に転換して、みなさんに理解できないようにしようという意図は間違いなく働いていることを頭の片隅においておくことは推奨をしておきます。
ゴルディロックス相場の起こる背景
リーマンショック以降に、その危機からの立ち直りのために日米欧の世界の主要先進国は、金利を「ゼロ」ないしは「マイナス」金利に誘導をしています。
この目的は、金利を安く誘導すれば、民間からの資金調達が容易になります。
たとえば、あなたが100万円を借りるときに、金利が1パーセントか10パーセントを選べと言われれば、迷わずだれでも、1パーセントを選ぶと思います。
このように低金利に誘導をすると、事業資金の融資が活発になり、景気が回復するというような意図から金利を恐慌のあとは金利を安くするのが経済学ではセオリーになります。
現状の場合、リーマンショック以降、日米欧が金利をゼロに誘導し、景気が回復していきました。
さらに中国は債券市場が未発達で多くの商いがありません。
つまり、日米欧、そして中国、この4か国は世界の経済大国のトップ4になります。
この世界のトップ4で全GDPの7割を稼ぎだしていますので、実質上、金利はゼロに近い水準になっていたのです。
中国から資金を融資してもらおうという人は実質上いなく、国内での資金需要はありますが、外国人が中国からお金を借りようと思わないのは当然の話になります。
つまりマーケットが動く要因というのは、金利要因もあり、その金利が実質上ゼロの訳ですからほかの需給要因、ファンダメンタルズ要因、内部要因だけでマーケットが動くようになったのです。
金利の上下動がないだけ、マーケットには波乱要因がなくなったのです。
この状態をゴルディロックスと呼んだのです。
ところが、2017年にアメリカのFRBが、金融緩和を完全に停止し、債券市場の自由化をすると宣言をしたのです。
つまり、本来であれば、このゼロ金利解除がゴルディロックス相場の終焉だったのですが、それに反して大きな調整もなく安定的な適温相場が続いたので、驚きをもって「ゴルディロックス相場」と呼んだのです。
要するに本来のゴルディロックスというのは、ファンダメンタルズ、内部要因、需給、金利というのはマーケットが動く要因なのですが、特に変動の激しい金利要因がないので安定的な相場になったのです。
しかしそれは、リーマンショック以降、各国は金利を低く誘導し、変動がなくなるように誘導した状態が本来はゴルディロックスというのです。
でもアメリカがその解除をしても安定的な相場が続いたのがフォーカスされて「ゴルディロックス」と呼んでいると推察されます。
ゴルディロックス相場の弊害
今年の2月にご記憶の方も多いでしょうが、アメリカ株が突然、10パーセント程度の下落を起こしました。
この要因はたった一つなのですが、まともに解説できる人は専門家にはいません。
要因の話はともかく、
安定的なゴルディロックス相場の崩壊だ!
と騒がれましたが、過去のアメリカ株の調整はどれも10パーセント程度の調整であり、驚くには値しません。
通常、調整からの立ち上がりは2-3か月経過をしたあと、と言われますので、そろそろ、株式市場も大きく値段が上昇してくることでしょう。
ともかく、通常の調整の範囲だったのですが、報道や専門家は暴落と叫び、一般的な人の認識も暴落になっていると思います。
つまり、過去の下げ幅からみると大したことがないのに、暴落と信じている人が多数の状態です。
でも実際は通常の調整の範囲であって、驚くに値しないのです。
つまり、これでゴルディロックス相場の終焉なんて叫ぶことがおかしいことであって、いつもの調整と考えればゴルディロックス相場はまだ続いているということになります。
ここで考えてみましょう。
なぜ人は今まで通りの調整なのに、なぜ暴落と信じてしまうのでしょうか?
この例は地震で考えればかんたんにわかります。
要するに「地震は忘れたころにやってくる」という格言らしきものが日本には存在しますが、先の東日本大震災が一番良い例ですし、熊本地震も同じ構図です。
未曽有の震災であったことは誰もが認識していますが、これらの地震の教訓というのは、安定的な生活は、いつかは崩壊するということです。
つまりそれが何の要因なのかはわかりませんが、人間が作ったものや、感情が安定的と判断すると、今目の前にあることが崩壊すると、それが大災害と勘違いすることなのです。
この事例が2月のアメリカ株価の急落になります。
実際は今までと同じような調整なのに、感情では大暴落と勘違いをするのです。
つまり適度な調整なのに、人の感情は大暴落と勘違いをしているのです。
数字的なボラタリティーはいつもの調整を示しているのですが、感情は大暴落と判断するのです。
人間という動物は、目の前に安定的な状態が続くとそれが永遠に続くと脳が勘違いする生き物なのです。
要するに日本のバブルの渦中にいる人間は、その瞬間は、この状態が永遠に続くと誰もが勘違いしたのですが、現代を考えると、それは明らかな間違いだったとみなさん知っているのです。
要するに数字的には2月の急落など、安定相場の延長戦上での調整であって決して暴落ではないのです。
おそらくアメリカがゼロ金利を解除したことによってゴルディロックス相場が崩壊しなかったことによって、多くの人は、まだまだ安定し続けると勘違いすることでしょう。
このまま6月に向けて円安や株高が進行すれば、もっと大きな勘違いが生じることでしょう。
そこに東日本震災や熊本地震のような災害が起こったら、どうなりますでしょうか?
投資家はみな円安株高と思っているのですから、その損失は莫大になり、おそらくリーマンショック以上の被害になるでしょう。
安定的な生活、相場などは存在しない
イチローの名言集の中に、「安定よりは不安定を好む」というものがあります。
この言葉は若い人には全く理解ができないことでしょう。
女性は安定的な職業についている方を結婚相手に選ぶ傾向にありますが、大きな間違いです。
適度に不安定の方のほうが、生活は安定をするのです。
つまりサラリーマンや公務員などは不安定になることがなく、私からみれば、もっとも安定をしている職業と言えるでしょう。
しかし、彼らが中高年でリストラされたら仕事はあるのでしょうか?
ほとんどの方に職業はないはずです。
一方でリクルートという会社は入社から15年で会社はクビになります。
この15年で、独り立ちできるように常に会社はプレッシャーをかけ続けるのです。
つまりヒマな時間は遊ぶということはせずに、次の仕事の準備をするというプレッシャーを常に受け続けるのです。
その結果はリクルートから起業した人たちが多いという結果になっています。
反対になんでもかんでもプレッシャーをかければよいというものでもなく、たとえば電通の残業問題で自殺者が出ています。
電通には鬼10訓というものがあり、その教訓によって常にプレッシャーをかけられます。
でも、自殺をしてしまったら意味がない、ということです。
人生でも、相場でも適度なプレッシャーは必要なのです。
ただし、そのプレッシャーによって病気や自らの命を絶つようなことがあればプレッシャーなどかけても意味がないのです。
要するに、プレッシャーのない相場というのは非常に危険な状態であり、今後、大きな値動きが出た場合には、多くの大損失を出す投資家が続出することになるのです。
つまりゴルディロックス相場というのは安定的なのですが、実は危険の始まりともいえるのです。