きのう、トルコの消費者物価指数が発表され、その結果は12.5パーセントということでした。
これに対して、政策金利が16.5パーセントになりますので、これから4パーセント以上物価が上昇しなければ、ドルを持つよりも、トルコ人はお得になります。
ですから、きのうのトルコの消費者物価指数というのは、リラの売り材料ではなく、買い材料になるのです。
このことをまともにネットや専門家で言っている人はいるのか、といえば間違いなく個人的にはいないと思います。
何も知らない人でも、おそらく経済学の原理原則から消費者物価が上昇をしているということはインフレであると考えます。
つまり物価が上昇をすれば、自動的に経済学ではお金の価値は下がると言われます。
今回はそのことについて考えていきたいと思います。
経済学の原理原則
経済学には、その原理に関してモノを言うと、
また角野は小難しいことばかりいいやがって
と思われる方も多いと思います。
でも、安心してください。できるだけわかりやすく、お話しをしていきたいと思います。
話を元に戻すと、経済学というよりも株や債券、FX、を含めてマーケット全般に言えることなのですが、
同じ品質、同じ質量のものは、その時点で価格が違っても何れは同じ価格に収れんをする
と言う原理原則があります。
たとえば、最近、韓国や中国から金の密輸入が盛んにおこなわれています。
これは、金のことを知らない方にとってはよくわからない話になると思います。
実は金の価格というのは世界のどこの国へ行っても、その価格はみな同じ価格になるというメカニズムがあるのです。
かんたんに言えば、金を、日本で買おうが、韓国で買おうが、ニューヨークで買おうがリアルタイムで価格が一緒なのです。
同じ量であれば同じなのです。
なぜなら東京の金の価格が世界で一番高く、そして、ニューヨークの金の価格が100万円やすければ、あなたはニューヨークで金を買い、そして東京で金を売りますよね。
確実に100万円もうかりますので。
この手法は大昔の、インターネットがない時代や日本人がまだ海外渡航が禁止されていた時代にはものすごく有効な商売だったのですが、今は、金などの高級品はどこで買おうと一緒です。
いまだに、その名残が残っているのはグッチやシャネルなどの高級ブランド品です。
要するにアメリカやヨーロッパの本国までそのブランド品を買いにいけば、安く買えるのですが、日本国内で販売している高級ブランド品はたいてい割高です。
これは、かつて日本人が海外渡航禁止だった時代や、海外旅行が高値の花だったころの名残です。
最近の店員もアホですから、このブランド品には日本向け価格やアジア価格があることを知りません。
もともと高く設定してあるんだよ、と言ってもプライドの高い彼女たちには理解しようという気がないのでしょう。
ちなみに、私はブランド品などで身を飾らなくてもいいので、一切買いません。
本当に自分に自信がある人はそんなものを相手にしなく、本当に価値のあるものを買うと思うのですがいかがでしょうか。
バカ高いブランド品にお金を出すのであれば、自分の目で選んで、誰ももってもいないようなモノを買ったほうがいいとおもいます。
話がずれましたが、金の場合でもなんでもそうなのですが、インターネット普及以前は、この価格が一緒になるのに1-2日かかったのですが、今はマイクロ秒の単位で修正をされます。
これがAIを使った取引といい、HFT、超高速取引と言います。
たとえば、ユーロ円という通貨ペアは、ユーロドル×ドル円によって算出されるのですが、その答えのレートが違うときがたまにあります。
すなわち、上記の掛け算の答えとユーロ円のレートは理論上、常に一緒になるのですが、この答えが違うときには、高い方をAIは売り、安い方を買うのです。
この値段が一緒になったときに手仕舞いをすれば100パーセント儲かります。
つまり、なぜ、これだけAIを使った取引が流行するのかといえば、100パーセントに近い確率で儲かるからです。
昔はボロ儲けだったのですが、今はマイクロ秒勝負になりますので、手作業なんかではできません。
つまり、同じもの、同じ質量のものは、必ず値段が時間をかけて一緒になるのです。
マーケットの世界では、もはや、マイクロ秒の世界になっています。
ところが金の場合、日本では消費税という税金があります。
韓国で金塊を買い付け、日本でそれを売却すると、その価格は一緒ですが、法制度で8パーセントの税金も返還されるのです。
要するに韓国で買って、日本で売却すれば自動的に8パーセント儲かるのですから、こんなおいしい商売はないということで、東アジアの方々は必至に日本に金を持ち込もうとするのです。
実際、今の金価格は1キロ400万円をこえていますので、その消費税は30万円以上です。
リスクなしで儲けられるのであればだれでもやると思いますが、犯罪です。
そして、以前にこういう話をしたのを覚えている方もいると思います。
たとえば、100円のものが日本で売られていて、同じものがアメリカにて200円で売られているとします。
この場合、為替レートは1ドル2円になり、100円のものに2をかければ、200円になるようにするのが為替だという話をしました。
つまり為替レートの基本的な概念というのは、違う国の違う物価を均衡に保つためのものであるということです。
要するに、日本で100円で売っていても、同じものはアメリカでは200円にするのが為替レートになるのです。
今回のトルコの場合
今回のトルコリラの消費者物価12.5パーセントの上昇というのは物価が上昇をしているのですから、トルコリラは余計に安くして、ほかの国と物価を調整するために、リラ安にならなければいけないのです。
でも、実際、発表直後は買われるのです。
なぜか?
これはかんたんな話で、今まで売られていたことがトルコからの資金流出がフォーカスになっていたからです。
つまり、政策金利をおびやかすような物価の上昇ではなかったから、買われたのです。
今のトルコは物価の上昇など注目されておらず、トルコでお金を持っていることが得か損かでマーケットが動いています。
そして、日本が円安になると物価が上昇するように、トルコもリラが安くなると物価が上昇します。
つまり、トルコは今後も物価が上昇するのは当然の話で、物価上昇のときにトルコ中銀が何をするのかが問題になるのです。
今の政策金利16.5パーセントは、また上げざるを得ないときがくると思っています。
そのときにトルコの大統領が何を言い出すのかも注目なのです。