2018年のトルコリラの見通しについて
2018年に入ってからも下落傾向が一服する気配がなく、現時点(2018/5末)もこのトレンドに回復の気配はみえません。
それどころかこの5月は1段と下方向(楽天証券のチャートでは2018/5に22.203にタッチ)に大きく動いてしまいました。
同じく楽天証券のチャートによると2018/1の高値が30.278なので月足で5月の変動幅は30.278-22.203=8.075、つまり約8円ほど下げているのです。
この先の見通しとしては、回復に値するニュースがそれほど無い状況から、まだしばらくは下値を試すことが予想されます。
もちろん回復基調へと流れを変えるニュース次第ではここが底値で反転もありえるでしょう。
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図 1 TRYJPY月足 楽天証券
図 2 TRYJPY日足 楽天証券
野村証券のトルコリラの見通しと見解
野村證券の「マーケットアウトルック - トルコリラ 」における今後の見通しと見解としては、
「向こう1年間のトルコリラの対円相場のレンジを1リラ=25.2~28.2円と予想しています。」
とコメントを出してます。
ただしこのレポートは2018/5/14時点のものであり、前出の通り、その後一時的に22円台まで下落してます。
つまり、本レポート記載事項はマーケット的にも下落要素として野村証券が想定した以上に大きな影響力を持っていたと判断できます。
レンジ底値の25.2円をしっかり抜けてしまうのか、先日の22円台を底値として切り戻すのか、5月の月足が何円で終わるかも見極める必要がありそうです。
トルコリラの大きなニュース
トルコリラに影響を与える大きなニュースとしては、テロ関連、トルコ中央銀行からの政策金利情報、アメリカ合衆国との関係が挙げられます。
- テロは2015ー2016年に大きな爆破テロが複数回ありましたが現在は比較的鎮静化しており、テロ関連ニュースは比較的少なくなってきてます。
- トルコ中央銀行からの政策金利情報は、多くの市場参加者がさらなる金利上昇を期待しているものの2017年の7.5%から8.0%への引き上げ以降は据え置きのまま現在に至ってます。
- アメリカ合衆国との関係としては、アメリカ合衆国はクルド人武装組織を支援する立場であり、トルコ国とは相容れないことから、冷えた関係が継続してます。
- さらに、トルコ国内に目を向けると自国のエルドアン大統領の存在と彼の発言が大きな影響を与えてます。
これらを要因とする大きなニュースとしては
2016年12月 | イスタンブール中心部で爆破テロ |
2018年3月 | トルコ政策金利は1月に引き続き据え置き |
2017年10月 | トルコ、アメリカ相互に非移民ビザ発給の停止 |
2018年5月 | エルドアン大統領によるトルコ中央銀行への利下げ圧力 |
2018年6月 | 大統領選挙が6月24日に予定される。 |
などがあり、いずれのタイミングにおいてもトルコリラは大きく売られてます。
また最後の大統領選挙は今後のイベントですが結果は為替相場へ影響懸念有ります。
したがって、アメリカ合衆国との関係、エルドアン大統領の発言、政策、トルコ政策金利次第でトルコリラは今後も大きく変動すると考えられます。
トルコリラの10年後は?長期の見通しは?長期保有には向いてる?
前出のニュースイベントを発端とする為替変動は、短期で大きく動くものですが、そもそも通貨は自国の経済力を反映して価格が推移するものですから、トルコという国の経済力を今一度再確認する必要があります。
トルコとは
2010年以降力強い成長を継続しており、
2013年 8.5%
2014年 5.2%
2015年 6.1%
2016年 2.9%
という年間成長率を出しています。
また、国民の平均年齢が若く豊富な労働力を抱えている点は強みです。(外務省 トルコ基礎データより)
このような状況下にて、トルコ政府は2023年(共和国建国100周年)までに,世界第10位の経済規模及び輸出額5,000億ドルという目標を掲げています。
欧米主要国の年間成長率(米国 2.27% ドイツ 2.51% 日本 1.7% 2017年調査結果)と比べるといかに高い成長率を過去数年維持しているかおわかりかと思います。
トルコはG20にも参加する新興経済国なのです。
したがって、長期保有において十分なポテンシャルを持っている、将来的には上昇する可能性を秘めた通貨と考えて良いです。
さらに、この金利なので長期保有にて享受できるスワップ益はトルコリラならではの強みでしょう。
現在のスワップポイントを基準に算出すると、1万通貨で年間約3万になります。
図 3 トルコ年間成長率(実質GDP)と日本、米国との比較
SNA(国民経済計算マニュアル)及び、2018年4月版 IMF World Economic Outlook DBに基づく
年齢層比率(%) | トルコ | 日本 |
---|---|---|
15歳以上 | 52 | 60 |
15~19 | 28.2 | 17.3 |
20~24 | 58.4 | 71.2 |
25~29 | 68.7 | 87.9 |
30~34 | 70.1 | 84.5 |
35~39 | 70.4 | 84.1 |
40~44 | 69.6 | 86.1 |
45~49 | 64.8 | 87.2 |
50~54 | 51.3 | 86.1 |
55~59 | 40.7 | 81.9 |
60~64 | 29.9 | 65.8 |
65~ | 11.8 | 22.7 |
表1: 全人口に占める年齢層比率(総務省統計局データより作成)
一体トルコリラどこまで下がるのか?暴落の理由 10円台は訪れるのか?
経済力、国力(若年層労働人口)等を考慮すると底堅い動きへの期待もある中、現在は歴史的最安値を更新している最中です。
本日(2018/5末)でざら場23.5円近辺、この5月は月中最高値から4円強も下落をしているので10円台タッチも否定できません。
通貨の予想は誰にも分からないものであり、そもそも予想などすべきでは無いのですがチャートのテクニカル指標の一つであるボリンジャーバンドにおいてもやや拡大傾向にあります。
いま時点では下落の収束局面とは言い難い(つまり、まだ下落の可能性もある。)と考えておくことが無難と思います。
では、どこまで下がるのか?
相場は生き物であり、常にその様相は変化します。ここまで下がれば止まる等はきめうちするものでは有りません。
前出の野村証券のレポートに記載されていた年間の下値予想も、一時的に突破されてます。
あえて、いま時点の状況から言うなら5月につけた安値22.203円を一旦の底と想定しましょう。
もしこの最安値を更に更新した場合は改てチャートの動きを確認するのです。
この最安値攻防と時を同じくしてトルコ政府、中央銀行からの政策やポジティブな要人発言が発信されると、市場は一旦下げ止まり戻し局面をむかえるかもしれません。
トルコリラをチャートを20年で見るとこんな感じ
下の図4及び図5はinvesting.comサイトから取得したトルコリラ(TRYJPY)過去チャートになります。
なお、トルコはデノミ政策を実施しており1990年代の価格は現在とは大きくかけ離れた値となってます。
デノミ実施後のリーマンショック直前は100円~120円でしたが、その後も見事に右肩下がりで推移してます。
なお、チャートでは非常にわかりずらいのですがこの数年(2015年以降)も年間で約7-8円の下落が継続してます。
下段にリーマンショック後を抜き出し拡大したチャートを載せてあります。
図 4 TRYJPY 長期月足チャート
図 5 TRYJPY月足チャート リーマンショック後月足
スワップ金利狙いのトルコリラで現在のスワップ益(1万通貨での1日あたり80-100円)が継続されるという前提ですと、1万通貨で年間約3万円のスワップ利益となります。
最大で年間3円の下落に収まるようになればトルコリラの下落分をスワップ益が吸収してプラスで年末を迎えられるという計算になります。
なのでここ数年の年間7-8円の下落時はスワップ狙いトレーダーには大変厳しい状況といえます。
トルコリラの金利は、ここ数年どのように流れで来たのか?
スワップ益を手に入れる為には対象通貨の金利差がなければ大きな収益は手に入りません。
TRYJPYなら日本政策金利とトルコ政策金利の金利差となります。
ではトルコリラの金利はこの数年どのように推移していたのでしょうか。
- 2008年の夏(7月,8月,9月)に過去最高の16.75%を記録し、以降は5%前後を推移
- 2014年に10%台まで上昇するも以降7%台を維持し2017年以降8%を維持
となってます。
最も低い金利でも2013年につけた4.5%であり、日本や米国ドイツ等の金利と比較すると一貫して高金利な通貨なのです。
トルコリラの掲示板は阿鼻叫喚になっている
トルコリラに関する掲示板といえば「Yahoo ファイナンス」、「5ch 市況2板」。
特に今年の5月最安値更新時は1000万を超える損失を計上したトレーダーからの書き込み等も投稿されており、大変な状況でした。
現在(5月最終週)は22.2円台が一旦の底値とおもわれる値動きから、上記掲示板にもロング期待のポジション取り報告も投稿されつつあります。
若干落ち着きを取り戻した感が伺えます。
ただし、一旦相場が動きだすと売り買い双方のトレーダーから投稿あり、トルコリラ掲示板はかなり賑わうことでしょう。
トルコリラの有名ブログの紹介
ここでは、トルコリラに関して豊富な情報を提供しているブログをいくつか紹介しておきます。
トレード開始する前、ポジション保有後も定期的に確認することをお勧めします。
No | サイト名 | URL |
---|---|---|
1 | トルコリラFX備忘録 | https://torukorira.com |
2 | トルコリラ運用日記 | http://torukonyusumatome.blog.jp |
3 | トルコリラ円スワップFXブログ | https://www.tryjpn.com |
4 | トルコリラのチャートと金利に翻弄されるブログ | http://tryjpy2016.com |
5 | トルコリラで自分年金づくり | http://tryjpy-nenkin.com |
表2: トルコリラ 人気ブログ
まとめ
いかがだったでしょうか。現在は大きく下落している最中で、なかなか手を出しづらいかとおもいます。
トルコリラ、及びトルコ自体のポテンシャルは決して低くないので長期的な保有にはこの下落局面をチャンスと捉えることが出来ると言えます。
もちろん急降下最中に買う必要はありませんが、回復兆候が現れたタイミング買い増して行きましょう。
政策金利が8%あり、日本の金利は当面現状維持であれば、現在とほぼ同じ額のスワップ金利からの利益が手にはいるでしょう。
1万通貨では年間約3万円です。
もちろん資金余裕がある方なら10万通貨での運用もかまいません。
ただし、高金利通貨は急激な変動もよく起こるのでレバレッジは決して高くしないことをお勧めします。
ハイレバでの運用時急落にてストップロスになるのだけは避けたいです。
できればレバレッジは1−3倍で取引ください。